療育という言葉を知っていますか。療育とはもともと、障害児への治療的保育を意味していました。健康診断でこの治療的保育を勧められると、うちの子は障害があるのだろうか、と不安になる親が多いそうです。しかし最近では、「療育とは何がこの子に必要なのかを多角的、総合的に考えて丁寧に行う保育」という意味合いに変わりつつあります。そのため、保育園で行う療育においては、保健や医療のほか、福祉や教育に携わる仕事の人たちが協力して行うことが必要不可欠です。よって、保育士はもちろんのこと、看護師など医療的専門家の力も重要になります。例として、自閉症児に対する療育を挙げてみます。
そもそも自閉症とは、広汎性発達障害の一つで、概ね三歳未満に症状が現れ始めます。他人とのコミュニケーションが難しいため、集団生活になじみにくいのが特徴です。よって保育士は、仲間との遊びを通じて、少しずつ人との関わり方を教えていきます。加えて看護師は、言葉かけによる行動の修正や絵でやり方を示すなど視覚的な工夫を行います。自閉症児に対しての医療は、薬物療法よりも教育的な治療が望ましいとされています。ここで、自閉症児の子をもつ母親の話を紹介します。以前は泣き叫んだりこだわりが強かったりする子どもの対応に苦しんでいたそうです。
しかし、保育士や看護師などが行う療育により症状が改善され、子どものことを理解できるようになったといいます。家族支援を含めた発達支援を行うことで、療育の意義はもっと大きくなるはずです。そのため、保育士や看護師などの専門職の質の向上は欠かせません。園児の中にもさまざまな背景を持つ子どもがいるため、一人ひとりに応じたケアが必要になるということを覚えておきましょう。